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砂丘に連なる海の動物 砂浜が海に接するあたりには、波と行動を共にするスナホリガニが見られ、水深一メートルくらいのところには、ヒラメ、カレイ、コチ類の稚魚やシオフキ、アサリ、コタマガイなどの貝類が生息している。 水深が二メートルをこすと、アジやサヨリの群れが泳ぎ、ヒラメ、キス、コチなどの成魚も見かける。しかし、生物相としては、岩礁地帯に比べ貧弱である。 これらの動物のなかで生態的に面白いのは、甲長約二センチメートルの楕円形をしたスナホリガニ(ヤドカリに近い仲間)だ。ふだんは波打ち際の砂に浅く潜っているが、静かに打ち寄せる波がサーッと砂の上にはい上がってくると、それに乗ってパッと砂から飛びだし、引く波とともにあっという間に砂中に姿を消す。その早業はまさに渚の忍者と呼ぶにふさわしいものである。 岩礁の海に生きる 砂浜の海に比較して、岩礁の海は岩棚や潮だまり、岩礫など複雑な地形のため隠れ家や餌が多く、多様な生物がそれぞれ環境に適応した生活を営んでいる。
[表-1]山陰海岸の海藻垂直分布(浦富海岸)
潮の干満の差を利用する生物 日本海側は、太平洋側に比べて干満の差が少なく、山陰海岸では、太平洋岸の三分の一の七十センチメートルに満たない。このあいだに、潮間帯(ちょうかんたい)生物と呼ばれるカメノテ、クロフジツボ、イソガニ、イワガニ、ヒライソガニなどの甲殻類やヨメガサラ、ヒザラガイ、カモガイ、ムラサキイガイなどの貝類、海藻(かいそう)では、アナアオサ、フトジユズモ、アオノリ、ハネモ、タマジユズモ、カヤモノリなどが生育している。 クロフジツボやカメノテは、干潮のときはまったく沈黙を守っているが、潮が寄せてくると、体の上部から多くの手(じつは脚)をだし、これを開閉しながら忙しく餌をとる。 イソガニやイワガニは、貝の肉などを与えると、片方のはさみでしっかりつかみ、もう一方のはさみで小さく切って口へ運ぶ。最後の一片は両方のはさみで大切そうに口に入れ、食べ終ったあと口の周りをはさみできれいに掃除するというマナーぶりを発揮してくれる。 浅い海中の生物 水深○〜二メートルは、人間にとっては海水浴や磯遊びに最適の場所であるが、岩や礫を利用して、さまざまな生物がくらす生活圏でもある。 岩肌には、カイメンやイソギンチャクの仲間が付着し、アメフラシ、シロウミウシなどが見られる。貝類ではサザエ、イボニシ、アワビなどが岩の割れ目やくぼみで生活している。海藻のあいだをクジメ、アイナメ、アナハゼが優雅に泳ぎまわり、また、カワハギ、カゴカキダイ、ウミスズメなどの稚魚が岩のあいだで餌をとっている。 海底の石や礫の下には、マナマコ、イトマキヒトデ、クモヒトデなどがかくれ、クボガイやイシダタミなどの貝類やバフンウニが観察できる。海藻では、大型のノコギリモク、ヤツマタモク、ワカメ、中型のサナダグサ、ヘラヤハズ、小型のテングサ、ツノマタ、カタノリ、ワツナギソウなどが多種多様に生活している。これが多くの動物たちに餌や隠れ家を提供しているのである。 かわった動物ではモクズシオイ、イソクズガニがあげられる。観察していると、海藻のついた小さな石が突然動き、驚かされることがある。これは彼らが体一面に海藻やカイメンを植え付けて偽装した姿である。また、白銀に輝く小鳥の羽毛に似た海藻が岩の側面に付着しているが、うっかり手をだすと、毒をもった刺胞がささって痛みを感じる。じつは海藻ではなくてシロガヤというれっきとした動物である。 海藻の多くは食用となり、代表的なものとして、ワカメ、ムカデノリ、テングサ、モヅク、イギスなどがある。 [表一21岩礁の海岸動物
資料提供:(財)自然公園美化管理財団(C)
写真提供:鳥取自然に親しむ会会長 清末忠人氏 |
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